突然ですが、今なにかストレスを感じていますか?近年ストレス社会と言われていますが、ストレスが溜まると自律神経が乱れやすくなります。この自律神経の乱れは身体に悪影響を及ぼし、中でも薄毛や抜け毛が気になる方は特に気を付けなければなりません。
今回はそんな自律神経と髪の毛の関係についてまとめてみました。
自律神経とは自分の意思とは関係なく自動的に働く神経のことを言います。呼吸・循環・排泄など生命維持に必要な機能を調節しています。内臓の働きや代謝、体温などの機能をコントロールするため、24時間働き続けている自律神経。具体的にどんなことをしているかというと…
・寝ている間でも呼吸をし、心臓の鼓動が働き続ける
・ご飯を食べると自動的に胃腸が働いて消化活動が始まる
・暑くなれば発汗して体温を下げて適温にする
などが挙げられます。
そして自律神経には2種類あり、『交感神経』と『副交感神経』があります。
大きく分けると、交感神経は緊張させる、副交感神経はリラックスさせるというものです。
そして驚くことに、リラックスしている副交感神経が優位な状態から、交感神経に変わるスイッチはわずか3分。逆に交換神経が優位になると戻すのに15分かかるといわれています。いかにリラックスすることが大切かわかりますね。
交感神経は自律神経のなかで興奮の刺激を全身のさまざまな器官に伝える神経で、脊髄と各器官を繋いでいます。交感神経の情報伝達に関与する特徴的な神経伝達物質としてノルアドレナリンがあげられます。交感神経が活性化すると身体活動は高まる方向へと変化していきます。
例えば、心拍数の増加・血管収縮・瞳孔散大・発汗などが生じる一方で、腸の運動や粘液分泌は抑制されます。
急な強いストレスを感じた時に心臓や血管には交感神経の作用が強く表れるのに対して、腸では交感神経に拮抗する働きを持つ副交感神経の作用により腸の運動が活性化し、便意や腹痛などを誘発します。まさに、会社や学校でのプレゼンや発表会、試験の時にお腹が痛くなったり心臓がバクバクするのは交感神経の作用なんですね。
ちなみに交感神経は活動型の神経であることから、睡眠中は働かないように思われますが、レム睡眠中は交感神経活動が活発であり、心拍数や血圧も上昇させます。
副交感神経は自律神経のうち臓器や器官などの働きを抑制させる神経です。副交感神経が盛んに働いているときには血管拡張・心拍数低下・血圧降下などの働きが見られます。
また呼吸が深く、ゆっくりとなり、胃が収縮して胃液の分泌が増えて消化が促進されます。男性は30歳以降、女性は40歳以降で副交感神経の働きが低下します。年齢を重ねると疲労回復しづらくなり、免疫力の低下などから病気になるリスクが高まるのもこのためです。女性の更年期障害も、副交感神経の機能低下が要因となる場合もあります。
自律神経はこの2つの神経がバランスを保つことで身体の調子を保ちます。
体調が優れないと感じた場合、検査をして何もどうもなければ、原因は自律神経の乱れ(ストレスなど)にあるかもしれません。
私たちは日々の生活の中で、様々なことからストレスを感じています。ストレスを抱えていると身体は休まらないため、副交感神経がうまく働かなくなります。その結果、交感神経ばかり働きます。これを交感神経が優位になるといいます。
交感神経が優位になると血圧上昇作用によって血管の収縮が起こり、血行不良に陥ります。血行不良は様々な機能を阻害しますが、髪の毛も同様です。人間の身体は末端に行けば行くほど栄養が届きにくくなります。髪に栄養が行き届かないと毛母細胞の働きが悪くなり、頭皮の血流が悪化して、髪の毛は十分に成長しなくなります。つまりヘアサイクルが乱れ、結果抜け毛や薄毛の原因に!
交感神経優位になると、寝不足・頭痛・口の渇き・肩こり・動悸・感覚障害などの症状がみられます。中でも寝不足はメラトニンの分泌を低下させます。ではメラトニンとはどんな働きをしているのでしょう?
メラトニンには、体内時計に働きかけることで覚醒と睡眠を切り替えて、自然な眠りを誘う作用があり、『睡眠ホルモン』と呼ばれています。
メラトニンの分泌は光によって作用されるので朝日を浴びると分泌が止まります。したがって、規則正しいリズムで起床、就寝をしている場合は問題ありませんが、不規則な生活リズムが続くと十分に分泌されなくなり、なかなか寝付けない、寝ても疲れが取れないなどの睡眠の質の低下が起こります。肌や頭皮など身体の細胞は睡眠中に修復されるので睡眠の質の低下や睡眠時間が短いと十分に修復ができません。
また、メラトニンには血管や細胞を傷つけ身体の内側を酸化させて、肌や髪の老化も促進させる活性酸素を抑える抗酸化作用があります。十分に分泌されていると、細胞の新陳代謝が行われて健康な頭皮に導きますが、メラトニンが減ると細胞の新陳代謝も行われなくなり、抜け毛や薄毛につながるのです。そのため、健康な髪を育てるためには就寝や起床時間はもちろん、眠りの質が大切となるのです。
副交感神経を優位にし、自律神経を整えるために以下の事を意識しましょう。
スマホやパソコンなどのブルーライトには交感神経を活性化させる作用があります。そのまま眠りについてしまうと副交感神経が優位にならず、睡眠の質の低下にもつながります。睡眠の質向上のためにも就寝前にはスマホやパソコンは見ないようにしましょう。
交感神経が優位な日中に、昼寝は副交感神経を優位にする効果をもたらします。しかし寝すぎは厳禁です。15~30分以内が理想的です。
気温が下がると交感神経が優位に働く傾向があります。首元を温めると太い動脈(頸動脈)で温められた多くの血液が体内を巡り、内側から効率よく身体を温めてくれます。
就寝前30分にホットパックやホットタオルなどで温めましょう。
入浴は副交感神経を優位にする有効な方法の一つでも有名です。就寝する1~2時間前が理想です。体内の深部温度を上昇させることで安眠にもつながります。時間がなく入浴ができない日が続く場合には、シャワーを首の後ろに当てるのもおすすめです。
朝起きて日光を浴びることで生活リズムを整えることが出来ます。副交感神経を優位に保つメラトニンは夜に分泌され朝日を浴びることで抑制されます。このメラトニンがきちんと働くことで一日のリズムを整えることができます。
過度な栄養バランスの偏りは自律神経を乱します。バランスを保つためにはタンパク質や発酵食品の摂取が大事です。また三大栄養素に加えビタミンやミネラルもバランスよく摂取しましょう。
自律神経が乱れると腸の動きが悪くなります。今や、うつ病も腸で治す時代だといわれています。食物繊維や発酵食品の摂取で腸内環境を整えましょう。
先程の腸内環境にも繋がりますが、白湯を一杯飲むと腸を活性化させる効果があります。朝はまだ腸が動いていない時間帯ですが、白湯を飲むことで目が覚めます。そして腸の蠕動運動が活発になりデトックスを行ってくれます。また、胃腸は副交感神経にコントロールされている臓器なので、胃腸を活発に動かすことで副交感神経を刺激でき、自律神経のバランスを整えることが出来るのです。
4秒息を吸い、4秒止め、8秒はく。これをゆっくり繰り返すことでリラックスが行えます。活発に動きすぎたり、いらいらしたときはこの深呼吸がおススメです。日中に定期的に取り入れてみましょう。
職場でトラブルを抱え、いつもイライラ。睡眠の質は下がり胃腸の不具合まで出ているお客様がおられました。頭皮はいつも血行不良で真っ赤。頭皮も硬くなっておられました。ところが勤務異動で別の部署に変わられたとたん、すべてが改善され、頭皮の赤みも減り髪のボリュームがさらに良くなられたケースがあります。それほど、自律神経は髪に影響を及ぼすということなのです。
今回は髪にも影響を及ぼす自律神経の大切さについてまとめてみました。
自律神経の乱れと言えば、身体に悪影響を及ぼすことは知られていたり、強いストレスで髪が抜けるという話もよく耳にしますが、日々の自律神経のバランスが髪の毛にまで悪影響が出ることは意外と知られていません。そして、薄毛になることでより強いストレスを感じ、また自律神経が乱れる…負のスパイラルですね。
この負のスパイラルを起こさないためにも、規則正しい生活や食事、睡眠の質を上げ自律神経のバランスを保つことを心掛けましょう。しっかりと元気な髪が育ちますよ。